2026/02/15 11:04
― 欧州フラックスの現状から見る価格上昇の背景 ―
ここ数年、フランス製やヨーロッパ製のリネン製品の価格が上がっていると感じている方は少なくないと思います。特に、テーブルリネンやキッチンクロスなどの麻製品は、綿製品と比べて価格差が広がっている印象があります。
その背景には、「欧州フラックス(European Flax)」と呼ばれる原料事情が大きく関係しています。
リネンは、亜麻(フラックス)という植物の茎から採れる繊維です。世界の高品質なフラックスの約75%は、フランス北部、ベルギー、オランダなど、ヨーロッパの限られた地域で生産されています。この地域は冷涼で湿度があり、亜麻栽培に非常に適した気候を持っています。そのため、繊維が長く、強く、しなやかな高品質リネンが生まれます。 それを使ったリネンは世界でも最高品質とされています。
この地域産の亜麻は「欧州フラックス」と呼ばれ、環境配慮型栽培やトレーサビリティの観点からも世界的に評価されています。しかし近年、この欧州フラックスの価格が大きく変動しています。
主な理由は以下の通りです。
・気候変動による収穫量の不安定化
・農家の減少と作付面積の変動
・世界的なサステナブル素材需要の増加
・エネルギー価格や輸送コストの上昇
特に2022〜2023年にかけては、収穫量の減少と需要増が重なり、原料価格が急騰しました。リネンは綿と違い、生産地域が限定されているため、需給バランスの影響を受けやすい素材です。
さらに、ヨーロッパ製品の場合は、織り・染色・縫製などの加工工程も欧州内で行われることが多く、人件費やエネルギーコストの上昇も価格に反映されます。
また、「昔のリネンの方が良かった」と感じる方もいらっしゃいますが、30年前と現在では原料事情や製造環境が大きく変わっています。
同じブランド・同じ型番でも、風合いに違いが出ることは珍しくありません。リネンは天然素材のため、繊維の太さや織りの表情に個体差があり、それが風合いの違いとして感じられることもあります。
リネンは農産物由来の素材です。
その年の気候や市場環境によって価格も風合いも変わります。これは工業製品とは異なる、自然素材ならではの特徴です。
価格上昇は事実ですが、それでもなお、リネンは耐久性が高く、使い込むほどに柔らかく育つ素材です。背景を理解すると、その価値の見え方も少し変わってくるのではないでしょうか。

